ミュージカル。

2003年8月5日
 ロンドンで「マイ・フェア・レディ」のミュージカルを観てきました。

 割と広い劇場でした。広場の一角でカクテルを売っていたり、休憩時間に座席にアイスを売りに来たりと、サービスは良かったです。
 席はupper circle(天上桟敷)の前から3列目でした。「レ・ミゼラブル」の劇場のようにプログラムを落としたら下まで止まらない程の急坂に座席があります。
 舞台が遠くて見えにくいかなと思ったら、ちゃんと座席の間に50Pでオペラグラスのレンタルがありました。

 「マイ・フェア・レディ」というと、あのオードリ・ヘップバーン主演の映画が有名ですが、あれが頭にあったので、舞台ではどのように演出するのかとても興味がありました。

 とてもよく出来ていました。場面の移り変わりを歌とダンスで飾りながら、舞台セットが互い違いにどんどん動いて変わっていく。
 舞台の奥行きも背景の遠近がとてもよく使われていました。しかも、映画とよく似ている。

 配役の人達は、イライザがとても声の綺麗な可愛い人でした。役柄も、映画よりも少し頼りなげで気の強い下町娘がよく表現されていました。レディに生まれ変わるところは、やはり、オードリーのあのイメージが強くて、「まあ、これくらいかな」という印象でした。歌は柔らかい若い歌い方をする人で、しなやかで伸びがあって良かったです。

 ヒギンズ教授の歌声は映画の人とよく似ていました。映画よりも生で見ているせいか、人物の像が舞台の方がはっきり描かれている感がありました。

 イライザの父親が歌う場面で、ゴミ箱のフタや洗濯板をかき鳴らしたりするパフォーマンスがありましたが、そういう舞台ならではの演出があるのは楽しいですね。

 しかしこの、「マイ・フェア・レディ」は、深読みすればきっと沢山出来るでしょうし、相方の言うように「何が・こうなんだ」というのがよく分からないという人には、すっきりしないものなのかも知れません。
 例えばイライザもヒギンズも「彼・彼女が好きだ」とは決して言いませんし、最期にイライザが戻ってきた時も、ヒギンズが何気ない顔をして意地張りな顔を通すあたりが引っかかる人も多いかも知れません。
 意地っ張りで決して表に口には出さないヒギンズ教授は、私から見るとどうみても彼はイライザが気になって仕方がない対象なのですが、これを相方に言わせると「好きだとは言ってない」「会って嬉しそうな顔をするとか何らかの動作が欲しい」とか若干の不満と困惑を生み出しているらしい。

 その点ではオペラ座の怪人は非常にすっきりした分かり易い劇なのかも知れませんね。
 しかし私は、またこういう、沢山の要素が盛り込まれた劇も好きです。ヒギンズとイライザの関係についてはよく「あれは階級差を最期まで引きずっている」とか色々評がありますが、それこそ、その時代の女性の立場とか位置とかを巧みに描いて観客に問いている、とも思えるのです。

 それにしても、イライザに惚れる貴族の青年が、イライザの珍妙な会話に馬鹿ウケする場面があるんですが、本当に笑い方が馬鹿ウケなのでつられて大笑いしてしまった。
 映画で観たときよりも笑った気がします。こんなに笑える劇でしたっけ?

>お誕生日のお祝いのメッセージを下さった皆様、ありがとうございます。嬉しいです。
  

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