・樹羅の囁き・

 彼からの電話で、目が覚める朝…。

 すれ違う、月と太陽の語り合い…。

 まるで、遠距離だったあの頃に戻ったようで、こそばゆい…。


 一人の朝。

 いれたてのお茶と、新しい創作。

 手つかずの本、編みかけのクロス…。

 ドールと、植物…。

 いつもと同じ風景だけれど、

 私の中にある『想い』が目を覚ます…。

 
 心に眠る、あの場所へ…。
    
 築かれた殻を脱ぎ捨てて、

 何もない、白いままの心で…。


 時に追われて、

 鮮やかで華いだ、

 海のように深く沈む、

 幾千ものベールの向こうへ…。


 幼子でもない、

 少女でもない、

 娘でもない、

 大人でもない、


 あの場所へ…。
 
 『私』の翼を手に、あの『想いの泉』へ…。

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