テレビで秋吉敏子のオーケストラ日本公演を見ました。

 この方は有名なジャズ作曲・演奏者ですが、演奏を聴いたのは初めてです。
 前日にオルケスタ・デ・ラ・ルスを聴いたせいか、とても対照的に感じました。
 普段よく耳にするジャズと違い、情熱的であるとか、小粋とかリズミカルであるとか、甘い、物憂げ、癒し、快感、そういった全てのある種世俗的な感情からはどこか離れたところにある音楽だと思いました。
 強く惹きつけたり、旋律を追う面白さがあるわけでもない。しかし、それは一音一フレーズだけでは解決できない音の物語を脳裏に深く刻み込むものでした。

 これは、美術館に足を踏み入れた時の感覚、眺めていた絵の残像に似ている。歌として叫んでいるというよりも、空間に音楽で物語が織られていくような感じがしました。何かの場面を、オーケストラというフレーム、音という絵の具で描いたような。

 その音楽は、ある一線を越えた芸術家達が持っている、「艶消しの魂」の心地良さに似ています。

 この世界に触れるたびに受ける感情が、感動と呼ばれるのかは、分からない。

   

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