それでも。

2003年6月25日
 時間と共に迫り来るストレス。2ヶ月の過ごし方、そして日本に帰って失うもの、出会うもの……。何度繰り返しても、帰るたびに日本の変わりようを知るのが怖くなります。
 別に、それほど困ったことでもないのですが……。

 来た時はここはなんてテンション低い国だろうと思ったけれど、馴染むと今度は日本がなんてテンション高い国だろうと見えて、なんとなく、自分がついていけるのか不安になります。楽しみと不安の複雑な気持ち。

 まあ、なるがままに。残りの日々を少しでも実りあるように努力しましょう。

 絵の資料にでもと思って髪形の雑誌と、家のインテリア雑誌を買いました。
  
 なんという、豊かな暮らしでしょう。ガーデンテラスがとっても素敵です。ガーデニングの芸術と見事にマッチしています。ベッドも椅子もデザインに味があって素敵。

 館、一軒家、セミデタッチドハウス、マンション。
 団地に帰る身だけに、とことん体験出来ないものを創作につぎこんだりします。

 どう頑張ってもまだ一日一人しか描けないドット絵。練習で色んなバリエーションを描いているけれど、もっと自分なりの描き方を見つけたいな。今はまだ、基本に従っているだけだけれど。

 最近PC画面を見るとちょっと酔う。向き合う時間を縮小します。
 ついでにMSNメッセンジャーの調子が変。自分からサインインしようとすると「再試行」ばかり出るのに、そのくせPCをつけっ放しで買い物に出ると、気がついたらサインインされていたりする。
 設定の調査をするので、しばらくは控えます。

雨と湿気。

2003年6月23日
 湿度ですっかりテンションが下がって、平目のように机にへばりついていました。

 ブライトンの水族館で、コメディアンがパフォーマンスでサメの水槽に飛び込んだら、サメの方がショック死したらしい。サメも意外と繊細なのですね。

 関係ないですが、豪華列車のプルマンはオリエント・エクスプレスと同じ会社が運行しているそうです。納得。
 そのプルマンの食事メニューに「おひょう」がありまして、初めて聞いたので調べたら、巨大なカレイなのですね。人間の身長よりも大きいです。なんとなく、大味そう。

 調子が出なくてうだうだしていたら、ふと料理でもして相方を驚かしたくなりました。目的が出来るとちょっと元気になる。景気付けに料理の本を片端から見て、台所を立ち入り禁止にして、開始。
 40分後。冷蔵庫にあるもので何とか作りました。お手軽料理。帆立と豆腐のうま煮、白菜と豚肉の重ね味噌煮etc.。

 ご馳走と言えるだけの食材はなかったけれど、こういう日はショウガやニンニクを使って元気をつけたい。

 それで相方が驚いたかと言うと、和食を滅多に食べられないから効果はあったみたい。

 ああ、海藻になってゆらゆら漂っていたい。
 駄目ダメでしょうか……?

 UKHistoryという歴史専門チャンネルでヴィクトリア時代の特集を見ました。

 改めて見るとこの頃の発明って凄い。エスカレーター、エレベーター、回転ドア、自転車、水力で橋を動かす装置、ガスによるスポットライトetc.。

 水力発電を取り入れた屋敷というのも残っていて、電話から非常用アラームまで全て水力発電で動くなんて不思議。
 ピア(桟橋)の上にある遊園地のジェットコースターとか、実はヴィクトリア時代からそんな風に遊んでいたのですね。

 産業革命の時代。空気の汚れきったロンドンからカントリーサイドへと目を向け始め、巨大な館型の工場を建てて、従業員のために800棟の住宅を用意し、果ては学校から教会から店までパブ以外の全てを揃えた町を築いていく。いつか電車の車窓からちらりと見ましたが、一種独特の雰囲気をもっています。

 しかし、レジャーの話は面白かったです。健康志向は昔からそうだけど、「オゾンは体に良い。海から漂う海藻の香りはオゾンに似ている=海に行って香りをかげば健康になれる。」と信じてこぞって海岸に遊びに行ったとは。しかも、「海は冷たければ冷たい程体に良い。とか言って裸で海水浴をしたといいます。もちろん、体に良いというのは迷信です。心臓に悪そう。

 伝統的に午前10時きっかりに発車する、フライング・スコットマンが引くプルマンの車両はとても格好良い。化粧室の床などは芸術的なモザイクがはめ込んである。豪華な食堂車もとても素敵。一度は乗ってみたいな。

 この時代は見ているだけでわくわくします。
 

お留守番。

2003年6月21日
 今日は相方がブリティッシュ・カウンシルのパーティでケンブリッジにお出かけをしていたので、久し振りのお留守番になりました。

 風邪はどうも喉に移動してきた様子です。スタミナつけに羊の脚のオーブン焼をしました。

 イングリッシュ・フォークとケルティック・フォークのCDを聴きました。

 イングリッシュ・フォークの方がちょっと泥臭い感じです。その中に、以前テレビで見た、ヴァイオリンを弾きながら歌う女性の方(Eliza Cathy)がいるのですが、彼女を見た時はジプシー系だと思っていました。曲もそんな感じです。そちらの文化から来ているのでしょうか。

 ケルティック・フォークは音楽的に割りと洗練されて耳に心地良いと思います。アイルランド民謡のような曲です。
 
 この辺の系統がもっと分かってきたら面白そうです。 

 そして、ドット絵描き。画面を凝視しながら「こうだから、ああなって」を繰り返す。焦らず、基礎固め。
 ふぅ。ピアノだって、練習曲が大事ですものね。
 

いろいろと。

2003年6月20日
 家の契約更新のサインをしにハイ・ストリートに行きました。家賃は5千円の値上げで済んだようです。

 契約は安全圏で3ヶ月の更新。ふと思えば後2ヶ月程で帰るんだ……。
 帰るまでに色々なことがしたい。料理とか、本とか。オーブン使えるのも今だけなので、もっと使おう。
 少しずつ、帰るための準備は始まっている。最近はそのことばかりを考えています。

 ハイ・ストリートではついでに服をお買い物。買っていいよと言われ、微熱も吹っ飛んで根性で選びました。楽しかった。

 帰りのバスを待っていたら、仮免をつけた消防車が通り過ぎて行った。……仮免の消防車?

 久し振りに「美女と野獣」を見ました。たまには、こういうのもいいですね。でも、何度見ても野獣の時の方がハンサムだと思うのです。

 童話的なロマンチックもいいなぁと、優しさに弱いこの頃。王子様が好きというよりも、王女様にしてくれる人。そういう話も書こうかな。

花を見て思う。

2003年6月18日
 今日は買出しと大掃除。ついでにお部屋の配置換えや本の整理。相方さんは今日から修論。

 ……さすがにくったり。中腰の力仕事はいけてません。

 スーパーに行ったらカレイがあったので、久し振りに煮付けにしました。家で鮭以外の普通の魚が食べられるのは感動です(もちろんキッパーとコッド以外)。

 少し風邪気味。だるい……。


追記。
樹羅の囁き。

「ずっと、迷子になっていた。

 心が張り詰めて切れそうな時、花を見ることを教えられた。

 その花は、ただ、優しく揺れていた。

 いや、花を通してその人の心を見ていたのだ。

 いつの間にか、穏やかな気持ちになっていた。

 そして、ずっと見えなかったものが、見えた。

 弱いもの、儚いもの、綺麗なもの、脆いもの……。それらは全て心の奥にしか咲かない花。誰の目にも見えそうで見えないもの。

 それは大きな悲しみの影を落として咲く花。
 何度も散り、光を失い、いつしか高い壁の中でひっそりと咲くもの。

 けれど、その花を見ている人は確かに、いる。

 そしてその花への道が見えた。

 迷いの森は消えた。

 弱きを恐れず、散ることを恐れず、失うことを恐れない。

 ただ、柔らかい光を受けたその花びらを、慈しむ。

 そこに、忘れた詩を、見つけた。」

 今日は気合を入れてアランデル(Arundel)へ出発。グリンステッドのインフォメーションでパンフレットを見てから、立ち寄ることにしました。

 アランデルは現役の伯爵城です。1067年にウィリアム征服王の家臣であったRoger de Montgomeryによって建てられ、以来ノーフォーク候として900年以上続いています。

 駅を降りて見回せば、城に向かって牧草地、農地、宿、橋を渡って町、丘になって城門、森、堀に跳ね橋で城、と完璧な構図。物語にでも出てくるような、中世そのままの町でした。

 まずは川辺のカフェでサンドイッチ。白鳥や鴨が群がっていた。

 城は要塞城というより優雅な感じ。城内はとても立派で、昔からかなりの富と力があったようです。ヴィクトリア女王等も滞在しており、その準備には2年もかけて部屋等を作らせたそうです。現役の城ということで、城内の所々には現伯爵と家族の写真等が飾ってありました。

 城主が続いているだけあって、装飾や調度品もよく残っています。武器や鎧も沢山あった。廊下には歴代の城主の肖像画が飾られ、図書室も充実していて、とにかく、目を見張るばかりの美しさ。宮殿よりもきらびやかでない印象が良いです。教会、食堂、宴会場、使用人スペース、調理場と、一通り見学して城内のティールームで一休み。シナモンアップルのケーキが美味しかった。

 外に出てThe Keep(天守閣)に上りました。これを目にするまでは良く分かっていなかったのですが、巨大な円形状の天守閣の真ん中には倉庫がありました(戦争時には武器や弾薬庫)。円の周囲をぐるりと歩くのですが、かつて大砲や矢を番えたであろうところには、木窓があるんですね(自分から攻撃する時以外は敵の攻撃を防ぐため)。
 眺めはとても良かったです。

 城内のお土産売り場で小冊子の本を買いました。「使用人の歴史」「英国の城の構造」「地方の使用人と主の生活」「王室の宮殿」。ほくほく。頑張って読もう。

 旅の名残を惜しみつつ、家路に。電車が例の如く遅れに遅れてコルチェスターに着いたのは夜の10時過ぎでした。

 とても実り多い旅でした。

 そして、ばたんきゅー。
 
 今日はブライトンを散策。B&Bの朝食時間が9時からなので、のんびりと起床。ハードスケジュールだったのでこの日はゆったりモード。

 町はイギリスとフランスを足して割ったような雰囲気です。まずは海岸に出て、水族館へ。

 この水族館は世界で最も古く、館内はヴィクトリア調の建築で、クラシックが流れており、とても優雅でした。規模はさほど大きくないのですが、巨大なウミガメは見物かも。海底ドームを歩けるのがウリなのだそうです。短いけど。

 それから海沿いを走る電気鉄道に乗りました。これは1883年から120年間走り続けているそうです。
 この海岸にはかつてもっと変わった乗り物も走っていました。それはまるで高足蟹みたいな足長の乗り物で、なんと海底にレールを敷いて海岸を移動していたらしい。でも速さは人よりも鈍かったとか。石浜の拡張と嵐の破壊によるメンテナンスの大変さで、僅か3年で廃止になったそうです。
 意外なのは、その技術があのディズニー・ランドの蒸気船ミシシッピー号に今でも使われているそうな。そういう仕組みだったのか〜。

 その後はロイヤル・パレスに行きました。そもそもブライトンは昔は静かな漁村でしたが、ここをジョージ4世が訪れてからとある農家を借り受け、今のような宮殿を建てていったのだそうです。外見はインド風、内装は中国風という、ある種の見方では悪趣味ともとれますが、とても美しく素晴らしい宮殿でした。
 その内装の発想はとても奇抜で、蓮を模ったシャンデリアや竹林をイメージした階段など、別世界が展開されながら決して華美ではなく、花鳥をあしらった壁などはむしろ品の良さを感じました。
 厨房を見て気づいたのですが、昔はやっぱり白鳥も食べていたんですね。

 お昼はmoshimoshi寿司で。リバプール駅のよりもずっと広く、メニューも多かった。

 その後はショッピング・センターなどを歩き、パレス・ピア(桟橋)へ。この隣には燃えおちたウェスト・ピアが骨組だけになった無残な姿を晒していました。

 パレス・ピアは遊園地やゲームセンターがあって賑やか。相方に連れられてジェット・コースターに乗りました。
 ……実はジェット・コースターは昔から苦手でディズニー・ランドでしか乗ったことがなかったのです。桟橋の先端にあってまさに海の上のジェット・コースター。3両編成で短くて、スピードも日本よりあるらしい。それに、一回転してる〜。
 相方は大満足。I「楽しかっただろう?」。……ウサギが耳を掴まれて振り回された感じ?(TT)。
 久し振りにゲーセンでも遊びました。

 その晩は中華&マレーシアレストランで夕食。お洒落な雰囲気で味も美味しかった。

 ああ、やっぱりリゾート地だなぁとうっとりでした。ロンドンからは一時間だから、きっと週末に遊びに来たりしているのでしょうね。

 ブライトンは、語学学校が多くて日本人も沢山いるんですよね。
 こんな所で勉強してるの、いいなぁ……(溜息)。

 明日は帰る日。でも新たな予定が出現。
 今日は、ブルーベル鉄道。朝食後、お世話になったB&Bに別れを告げ、グリンステッドの駅に。書き忘れていましたが、グリンステッドはチューダー朝の古い町並みが特徴です。

 駅からタクシーで15分。ブルーベル鉄道は、廃線になった区間を使って民間の団体が機関車を走らせています。その鉄道保存量は屈指のもので、ヴィクトリア時代に南のリゾートに大きく貢献した高級列車のPullmanも所有し、定期的に走らせています。

 乗った区間の駅は3つ。ヴィクトリア時代のまま使われています。その内のHosted Keynesという駅はかつて英国一美しい駅と謳われたそうです。
 やってきた蒸気機関車にうっとり。黒いボディに赤いラインがカッコイイ。この汽車は1956年製とのこと。客車は3種類。ビュッフェもあってお茶ができるらしい。
 行きはコンパートメントに乗りました。木造の廊下や壁に、ふかふかのクッションがきいた長細い椅子。5人がけでしたが、空いているので一人占め。
 乗り心地は良かったです。車窓からは、その名の通り、ブルーベル(釣鐘型の花の総称。主にヒヤシンス)の花が沢山咲いていました。途中、近くの土手の小火で列車が停止。心配していたら、相方と他のお客さん達が朗らかに「ああ、エンジンのせいだねぇ」とか談笑している。おい。蒸気機関車から出る火の粉がよく飛び火するのだそうですね。運転士さん達が消火していました。消火用の水とホースも搭載していたのは新鮮な発見。

 終点の駅舎内の食堂でランチ。それから車庫等を見て回って折り返し。途中の駅で鉄道の本を買いました。駅のいたるところに昔のポスターや地図が貼ってありました。それによると、昔は航路も鉄道路線も今よりもずっと多くて便利だったらしい。フランスに目を移せば、今はバスでしか行けない、オンフルールにも鉄道があった。イギリスの場合、鉄道会社の統合と廃線を繰り返してきたわけですね。

 それにしても、昔のポスターや商品の絵柄はいい味がある。写真を使わない分、夢があるというか。独特の色彩感覚がいつ見ても飽きません。絵の中に必ずユニークなオチがあるのも楽しいですね。
 蒸気機関車の旅て時間もかかるし大変だけど、ムードがあっていいなあと少し昔の人達が羨ましくなりました。

 鉄道を堪能してから、一路ブライトンへ。Three bridgesでサウスセントラルに乗り換えて30分。程よく疲れた目が一発で覚めました。 

 ブライトン(Brighton)の駅は、今まで見た中で一番高いです。……天井が。細部にいたるまでヴィクトリア調の優雅な装飾が施され、ホームを覆うドームの円柱から外の景色が美しい屏風絵のように見えます。

 駅を出ると、まさに、白い家と海の町でした。疲れも眠気も吹っ飛んでお散歩の犬状態。
 早速B&Bに荷物を置いて散策。都会で洗練された町のウィンドゥや、活気に満ちた海岸を歩きながら、目的のレストランへ。お目当ては、事前に調べた「English’s Oyster Bar」という有名なシーフードレストラン。ブレア首相も訪れたことがあるそうです。普段魚というとフィッシュ&チップスしかなかったので、とても期待。
 夏のような陽気なので、どこの店も道にテーブルを出している。小さな広場にイタリアレストランとカフェ・バーとその店がテーブルを出していて、とても賑やかでした。
 食事は狙い通りドーバーソウル(ドーバーの平目)。葡萄と白ワインを使ったホワイトソースでとても美味しかったです。前菜はエビのガーリック焼き。デザートはバナナクレームブリュレ(バナナのプリン。表面を砂糖で焼いてバリバリにする)。食事中、店で演奏して回る楽団が来てとってもムードがありました。

 夜風は冷たかったけれど、海岸沿いを歩きました。燃えなかったパレス・ピアでは、遊園地のネオンが華やかに夜空を照らしている。

 その賑やかさから少し離れると、月明かりにきらめく海が穏やかに波音をたてている。街灯のともるヴィクトリア調の海岸はとても美しく、絵の中に吸い込まれるような気分で、海岸沿いを歩いて帰りました。

 明日は、ブライトンの市内散策。
 今日はいよいよプーさんの森へ。一夜明けてB&Bの家の中を良く見たら、結構立派な館でした。廊下の壁には何故か中国の国債が飾ってあった。家人の上品さからすると、旦那さんが立派な仕事をしていて、退職後に趣味で宿屋をしている感じ。
 朝食はイングリッシュ・ブレックファースト。美しいカットガラスの瓶に入った、手作りのマーマレードが美味しかった。庭ではソックスが野鳥を相手にじゃれていた。

 目的地のハートフィールド(Hartfield)まではグリンステッドから291番のバスで30分程。二階建てバスの二階に乗り込んで、出発。
 凄い丘陵地帯でした。道はぼこぼこ。オマケに樹木から伸びた枝がバスのガラスに当たって怖い。
 眺めは最高でした。にわかに森が開けたかと思うと、緑鮮やかな丘の斜面に花畑が遙か遠くまで広がっている。小さな村を幾つか越えて、ハートフィールドへ。この周辺はシャーロック・ホームズにも登場しているらしい。  
 余談ですが、地名辞典によればハート(hart)がつく地名は鹿がいることを表しているそうです。言われて見ると、鹿のシンボルがある。
 プーさんのショップで「魔法の森の地図」を貰って、プーさんのお話の舞台になった森へ。
 
 プーさんの森はアッシュダウン・フォーレスト(Ashdown forest)と言います。アッシュはトネリコ。トネリコの森ですね。トネリコは近年激減して希少価値なのだとか。これも余談ですが、ローラ・アシュレイのAshleyも、leyは森を表すのでトネリコの森という意ですよね。ローラ・アシュレイ自体はアシュレイ卿ですが。

 さて森までは親切に矢印があって辿って行けば良いのですが、柵越えをしながら舗装されていない野原や森の小径を歩いていきます。全部辿ると往復3時間はするルートですが、私達は時間の関係で「棒投げ橋」まで行きました。
 途中、馬や牛や羊と出会いながら、ついに「棒投げ橋」に。物語ではプーさんとロビンが棒を投げてどちらが早く流れるか競うのですが、実際に、ミルンとロビンも棒投げをして遊んだそうです。この橋は一度壊れてしまいましたが、綺麗に修復されました。
 森の中、木漏れ日に照らされたその橋から川を眺めれば、緩やかな流れにのって鴨の親子が散歩を楽しんでいました。

 昼食は村のINN(英国ではパブの意)で、「農夫ランチ」と「農場ピザ」を注文しました。農夫ランチは数切れのハム、パン2つ、玉ねぎのピクルス、サラダ、リンゴと、ヘルシーでボリュームがあって満足。それからプーさんのショップで色々買い物をしました。やっぱりクラシック・プーの方が好き。そこで挿絵画家シェパードの自叙伝を買いました。
  
 夕食はグリンステッドの町に戻って中華。
 宵の明星が綺麗だった。

 でも、その晩、謎のカブレを左腕におこして、痛痒かった。虫刺されかな。

 明日は、ブルーベル鉄道。
 
 旅行にいってきました。記録に残す意味も兼ねて、ご報告……。

 旅、といってもまずはロンドンで歯医者と美容院から始まりました。9時頃にコルチェスターを出発し、11時から歯医者。どうにか保険のきく銀にして貰えたのですが……。I「値段は?」医者「(さわやかに)一緒ですよー」。あ、そうですか(TT)。
 
 それからリバプール駅のmoshimoshi寿司で昼食。

 駅の地下鉄が封鎖されていたが、出る頃には解除されていた。イギリスで旅の心配と言えば交通。封鎖は滅多にないけれど、20分遅れは当たり前。時刻表通りに発着することが滅多にないのです。
 
 美容室はベイカー・ストリート(Baker street)から歩いて10分程のところでした。ユニセックスなので相方も散髪してもらいました。日本人経営なので安心。私は髪の長さが胸くらいまでありましたが、思い切って肩まで切ってもらいました。軽くなった。
 さっぱりして、公園をお散歩。天気が良いので鳥も人間も草原にごろごろしていました。

 ヴィクトリア駅は想像以上に大きな駅でした。外見は優雅なヴィクトリア調。駅前は長距離バスが沢山行き交い、構内は電車のホームが19番線もある。
 夕食は駅前のステーキハウスで済ませて、いよいよグリンステッドへ。

 駅での心配と言えば、番線の表示。いつも発車10分前に番線が表示されるのですが、今日は究極だった。発車3分前に18番線(←一番遠いホーム)だという。さすがに皆真っ青で全速力で走る走る。しかも駆けつけたら電車が遅れてまだ来ていなかった(眩暈)。いい加減にしてよ〜。

 イースト・グリンステッド(East Grinstead)行きの列車は通勤圏のせいか、ビジネスマンが沢山乗っていました。ロンドンの喧騒を離れ、やがて車窓には森が広がる。

 グリンステッドは静かな町でした。夕暮れに茜色に染まる草原。町外れにあるB&B(ベッド&ブレックファースト。ホテルより安い。民宿みたいなもの)で一泊。上品な女主人が迎えてくれました。
 カントリー調の可愛い部屋でした。黄色い壁紙に花柄の装飾品。ポプリの香りが心地良くてすぐに眠ってしまいました。

 夜、窓下でこの家の飼い猫のソックス(猫。足だけ白いから)がミーミーないていた。

 明日はプーさんの森。
 

旅の準備。

2003年6月11日
 明日から5日間旅に行ってきます。

 まずは倫敦で、歯医者と美容室に行きます。予定を予め書きますと、ロンドン→Grinstead(ブルーベル鉄道)→heartfield(クマのプーさん)→Brighton(屈指のリゾート地。ピアが2つとも焼失してしまった)の順に訪ねます(お姉さま:両親にも留守の旨、お伝え下さいませ)。

 ウォーキングシューズを買ってみたけれど、履き試しに大学まで行ったらば、靴ずれしてしまいました。両足の踵に大きな絆創膏。え〜ん、格好悪い〜。素直にいつもの楽なサンダルにしておけば良かった〜。

 大学の構内は今日、うさぎパラダイスでした。うさぎだらけ。子ウサギが追いかけっこをしていた。尻尾が白いのが可愛い。

 ブライトンで何とか美味しいシーフードにありつこうと目論んでいます。フィッシュ&チップス以外の魚料理が目的です。
 ホテルはどこも満室。一部屋だけ空いているのをやっと見つけて予約しました。2泊目から値段が上がるというのは面白いシステムですね。しかも平日の方が高いという。まだハイ・シーズンではないのが救いです。

 小さなリュックにあれこれ迷いながら詰め込む。

 天気に恵まれますように。靴擦れの傷が早く治りますように。何事もありませんように。

 ということで、日記は5日後に旅の報告を致します。

わらわら。

2003年6月10日
 水曜日からの旅行のための準備でハイ・ストリートに買物に行きました。
 気楽に旅と言っても、リュックだとか化粧水を詰める小瓶だとか、こまいものが入用になったりします。ちょっと長めの旅なので少し緊張。

 旅のプランは予め「ここに行きたい」を決めると、鉄道マニ……鉄道趣味の相方が時刻表やネットを駆使して交通の接続を調整してくれる。とても便利なんだけど、少し暇なので行く場所の見所や歴史を下調べ。
 ホテルも予約してくれるというので、またまた暇なので(←蚊帳の外で拗ねかけ)ついでにしおりでも作ろうかなぁとPCをぱちぱち。しおりなんて学校以来ですね……。

 心配なのは天気だけど、最近は30秒ずつ降ったり止んだりするから、あんまり問題なさそう(?)。むしろ、快晴だと黒こげになりそうです。サンダルを履いていたら、足にくっきり日焼けの線がついてしまいました。サングラスをしていても目がくらくら。ちょっとグラスのレベルを上げないと駄目かな。

 旅好きだけど、旅行前はドキドキし過ぎて貧血おこしそうになる。普段ぼーっとしているせいか、刺激に弱いのです。

 ……こんなテンポで日本帰ったらやっていけるのかな。
 

スロー。

2003年6月9日
 今日は一日中のんびり。歩きすぎて体が痛い〜。これで長期の旅に耐えられるかな、ちょっと、不安。家猫(家でごろごろ)が長すぎて体が硬くなっているのかも。

 珍しくテレビでディズニーのクマのプーさんを見た。久し振りに見たらますますアメリカぽくなっていた。BBCの子供用番組でも人形劇をやっているけれど、こっちの方がまだイギリスらしい。ちょっとウサギがワーナー的です。ティガーがアメリカぽいのはアニメ化当初からですが。

 クリストファー(・ロビン)本人の著書にまだ目を通していないのが残念です。大きくなってからもロビンのイメージがつきまとって苦しんだことは知っていますが……。
 原画のロビンは、挿絵画家のシェパードが息子のグレアムをイメージしながら描いたものだそうです。

 お話はわりと道徳的ぽい。でも、絵が可愛いし、気楽に見られるかな。大きくなってからプーさんのはなしをちゃんと見たせいか、その辺は子供の頃に見ていれば、もう少し印象が違うのかも。
 自分の周辺の森にぬいぐるみが生活しているというのは、小さい頃の自分なら沢山夢を見たでしょう。
 伯母が会社でミッキーのぬいぐるみを作っていたお陰で、ぬいぐるみがいつも側に沢山いました。小さい頃のお気に入りは真っ白なチャウチャウと白い燕尾服に黒い蝶ネクタイのウサギ。沢山物語を作って遊びました。

 そう考えると、プーさんの世界は架空と現実が混ざるごっこ遊びの世界。でも、内容は夢があるというよりも、かなり現実的な印象を受けます。そこはやっぱり教育的要素があるからかな。ある意味、イギリス的なのでしょうか。

 道徳というものには、少し冷静になってしまいます。
 疑問があるとすれば、「何故、喜ばせようとするために、相手を騙すのか?」
 健気なのは分かるんだけど、それは、あんまり、いただけないのです。その場で諦められることが、余計な期待を持たされて騙されることで二倍がっかりしてしまう。そのがっかり感の上で相手の「一生懸命で良かれと思って」を理解しろと要求されるのは、好意の気持ちは分かるけど苦手。「知らぬが仏」よりも「過ぎたるは及ばざるが如し」。

 ただ、キャラの性格がみんな「いい人」というより癖がある。そしてみんなどこか抜けている。人情と友情でくくる所がどこか江戸っ子ぽい。

 いつ見ても独特だなあと思う。絵は素直に愛らしくてよいなとは思うのですが……。でも、その癖のあるところも、プーさんらしい世界なのでしょうね。子供らしいのは微笑ましいです。

世界一の桟橋。

2003年6月8日
 Southend-on-seaに行って来ました。
 コルチェスターからはShenfieldで1回乗り換えてSouthend Victoria駅で下車。一時間半くらいのところです。東南かな。

 サウスエンドは海岸保養地としてヴィクトリア時代に栄えた所で、世界一長い桟橋があります。その距離は2154mあるそうです。
 桟橋の先端までは電車か歩きで行きます。まるで博物館で見るようなレトロな雰囲気の赤い電車で、中も狭くてとってもシンプル。一両ごとを繋げただけで、車両同士を行き来できないのがポイント。桟橋だけあって、良く揺れる。決して乗り心地の良いものではないですが、眺めは最高です。ふと、目を落とすと、潮風でぼろぼろになった鉄橋が……。

 桟橋にはかつては巨大な美しいパビリオンがあり、コンサートホール等がありましたが、過去の2度の火災によりその面影はなくなってしまいました。
 今は売店数軒とライフボートの建物があるだけですが、広場のベンチに座って海岸線や海を眺めると時間を忘れてしまいます。海岸までは歩いて帰りました。相方は喜んで電車を撮りまくり。結構、歩きでがあった。

 海岸沿いには遊園地が出来て、ジェットコースターが3台も行き来しています。悲鳴の耐えない桟橋というのはなんとも興ざめなものですが、王族を招き、百万人以上の旅行者を記録し、200室という巨大なホテルが栄えていた時代を思うと、ささやかなものなのかも知れません。ピクチャレスクにも訪れていたらしい。

 このサウスエンドはしょっ中ジャズフェスティバルや花火等のイベントを開催しています。町の中にはちらほらとヴィクトリア時代の建物があり、東京駅にそっくりなのもありました。
 
 私はレストランとお店をキョロキョロ。昼食はフィシュ・アンド・チップス。……日本のカレーとかヤキソバに匹敵するメニューはこれだと思う。どこに行ってもあるもの。フィッシュ・アンド・チップス、イングリッシュ・ブレックファースト、ドーナツ。こっちの人って揚げ物、好きなのね。
 お洋服も沢山みた。見るだけって釘さされたけど(涙。(おねーたん)、DAMARもETAMもありましたよ。今度は絶対予算作ってくる〜。

 家に帰ったら、TDL行った後みたいにばたんきゅーでした。

童話と絵。

2003年6月7日
 今日はずっと童話の世界を覗いていました。といっても、MOEの雑誌をまとめて読んだり、HPを漁ったり。

 微妙に関係ないけれど、きたのじゅんこ、高田明美、宮崎照代、黒井建の画集は何故か出ると買ってしまいます。

 絵といえば、挿絵画家について調べるのはこちらにいる間に資料を集めたいなあ。ケイト・グリーナウェイとか、シェパートとか。世界の挿絵画家を総合した大辞典でも欲しいところ。国を問わず調べたい。……予算を何とか組めないかな。挿絵芸術は興味がつきません。

 挿絵画家と油絵画家の微妙な線の人では、マックスフィールド・パリッシュが好きです。遠景を描く時に、空気の透明感を保ったまま表現するという独特の方法を編み出した人です。鮮やかでリアルな自然や人間観察で、迫力のある物語の世界を描いています。パリッシュ・ブルーでも知られていますよね。古き良き時代の人ですが、いつ見ても新鮮な感じがします。

 一人一人名を挙げていくときりがありませんが、挿絵や絵本、イラスト、それぞれの世界はいつ見ても飽きません。

 そんな風に、自分の世界を描きたいな。

人も動物も。

2003年6月6日
 今日は大学に行ってから、ハイ・ストリートでお食事。

 大学の構内は晴れているせいか、人もリスもウサギも沢山。特にウサギはわらわらいました。お花畑の中をのびのびと駆け回っている姿がとっても可愛い。

 夕食に入ったレストランのデザートに、ベリー系のプディングを注文しました。
 私はクリスマスプディングのような、ドライフルーツの詰まったものかと思ったのですが、出てきたのは、ベリーの果汁でしっとりとした、ノーマルなプディングでした。プディングは独特です。あれはカステラでもなく、ケーキでもない、目がつまっていながら、ぽろぽろ崩れるとでもいいましょうか。
 とにかく、この美味しさを是非再現してみたくなって、お菓子の料理本を漁ろうと思います。

 話は変わって歯医者。日本の保険がきくとありましたが……どうも、この立場では1割くらいしかお金が返って来ないようです。ふぅ。

 戸外が気持ち良い季節。この瞬間を、忘れたくない。


動物のテレビ。

2003年6月5日
 テレビで、「英国で一番知能の高い動物コンテスト」をやっていました。

 これは面白かったです。ブタやアナグマ、野鳥にリス……それぞれ自宅の庭や研究所や農場で仕掛けを作って動物達を試すのです。

 なるほどエントリーするだけあって、動物達の謎解きは鮮やかなもの。特にリスと、カラスの実験は仕掛けを考えた人もなかなか。

 優勝したのはやっぱりカラスでした。「U字のガラス管に水をはり、一方の中に物を落とすと、もう一方の水が増えて餌が取れる」という仕掛けを作り、落とす物(オレンジ色の卵型プラスチック)をそこら中にばらまいておいたところ、カラスはなんなく拾って来ては入れて、餌をゲットしていた。なんで分かるんでしょう。

 他にも、餌の入った小さな籠を管の中に入れて、真っ直ぐな針金を置いておくと、カラスは壁で針金を曲げてから管の中の籠を取るという知恵も披露してくれました。

 リスはアクションゲームも真っ青のアクロバティックな仕掛けをクリアしていました。想像以上のジャンプ力ですね。

 オウムちゃん達は最高。餌の入った木箱の側面に2つの戸をつけ、それぞれ紐をつける。片方の紐を引っ張ると、もう一方の方の戸が開いて餌が取れる仕組み。
 さて、置いたところ。
 オウムちゃん達は集団で箱の隙間に鋭い嘴を差込み、協力し合って箱を壊しました。
 なんて分かり易い。
 最終的には仕組みを分かってくれたんですが。

 しかし、この番組を見ていると、動物と仲良くしてるなぁというのが伝わってきます。例えば庭にリスが通って来る家は、リス達に名前をつけて、クリスマスには「HAPPY CHRISMAS」とか書いてナッツのプレゼントを木に置いたり。でもあくまで姿は見せず、こっそりウォッチングしているだけなのです。

 動物達の自然な知恵も沢山ありますよね。むしろ、古来は人間が学んだんじゃないかなあと思うこととか。例えば、鷲等の猛禽類は、ヒナが大きくなって巣で生肉を啄めるようになると、親鳥はとってきたネズミの生肉に、防腐剤としてハーブを添えて巣に置いて行ってあげたりしますよね。

 知能、賢さ、知恵。

 ……今、欲しいものです。

やっと一息。

2003年6月4日
 相方さんの試験が終わって、残すところは修士論文。お疲れ様です。
 これで大学院生活も一段落で、お留守番の犬が主人を迎えたかのように喜びでうさぎとびな気分です(謎。久し振りに沢山話せました。

 6月15日まで、パリのシャンゼリゼでやっている鉄道開業150周年のEXPOに行きたいのですが、ストの関係が難しそう。鉄道のストなのに鉄道のEXPOをやっている場合なのかな?山場は近いようですが、早く決着をつけて欲しいな。……それにしても、定年を引き延ばすのに反対するとは。

 注文していた本がやっと届きました。「Meiji Revisited〜The State of Victorian Japan」と「The Great Exihibition of 1851〜A Nation on Display」が届きました。万博の方は狙っていたのと違う本だったのですが、資料が増えて良しということにします。(おねーさま、明治の方は情報交換しませう)。

 今日はずっとうきうきしていました。

点。点。

2003年6月2日
 明け方寝て昼頃に起きる私と、夜9時には寝て明け方起きる相方が顔合わせる時間は、多分、3時間くらいしかないような気がします。

 でも、何でしょう、お互い頑張っている時って、それでも気持ち良く過ごせます。
 それぞれ机に向かって夢中になっていると、本当、クラスメートにでも戻ったみたい。

 今日はずっとドット絵練習。キャラツクProの講座を見ながら、一からおさらい。理論を確認しながら、図形を描いて描いて描いて。……ぐったり。
 家の中の目に入る物みんな、影と光を意識してしまいます。そうでないと、いけないんだろうけれど。

 そして合間にツクールのHPを片っ端から開けて読む。皆自分の世界色を創りあげていいなぁ、と憧れの溜息をつきつつ、また、練習。好きなものなのだから、根気良く楽しもうっと。
 
 最近、80年代の洋楽ばかり聴いている。馴染みがほっとします。

 「わくわく」が蘇る。ナンセンスとワンダーランドに飛び込みたくなる。
 現実的な世界と、既存の枠を破壊して遊ぶ想像の世界。日向ぼっこのようなメルヘン世界。自分の中には沢山の世界がある。

 ……しかし、まだまだ課題は多い。

 ま、肩肘張らずに、こなすしかないか。

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